M1チップなどのApple Siliconを搭載したMacを使うときには、リカバリやメンテナンス、特別な起動モードの方法が大きく変わっていることに気づくかもしれません。
Intel Macでは「command」キー+「R」キーを押してリカバリーモードを呼び出したり、セーフモード、PRAMクリア、SCMリセットなどができました。
でも、Apple Silicon搭載 Macではこれらのキー操作が使えなくなり、起動時に電源ボタンを10秒以上押し続けると、起動オプション画面が表示され、そこから操作を実行します。
ただし、起動オプションではIntel Macと同じすべての操作ができるわけではなく、廃止されたり別の方法に変わったものもあります。そのため、M1 Macのトラブル対応方法をしっかり理解しておくことが大切です。
起動オプションで可能なトラブル対処法
- 起動ディスクの選択
- セーフモードでの起動
- macOS復旧(リカバリーモード)
- 診断モード(Apple Diagnostics)
- ターゲットディスクモード
Apple Silicon搭載 Macの起動オプション画面には、起動ボリュームの一覧と「オプション」ボタンが表示されます。
これはIntel Macの「スタートアップマネージャ」に似ていて、ボリュームを選んで「続ける」をクリックすれば通常通りに起動します。画面下部から「システム終了」や「再起動」もできて、「option」キーを押しながらクリックするとデフォルトの起動ボリュームを変更できます。
「オプション」ボタンをクリックすると「macOS復旧」画面に切り替わります。これはIntel Macのリカバリーモードと似ていますが、一部メニューや機能が異なります。
「macOS復旧」では、①Time Machineバックアップからの復元、②macOSの再インストール、③Safariを使ってオンラインヘルプを見る、④ディスクユーティリティの利用が可能です。
また、メニューバーの「ユーティリティ」メニューから「ターミナル」や「起動セキュリティユーティリティ」「共有ディスク」にもアクセスできます。
さらに、従来と同じように「セーフモード」や「診断モード(Apple Diagnostics)」も使えます。セーフモードは「shift」キーを押しながら起動ボリュームを選び、「セーフモードで続ける」をクリックします。
これにより、ユーザーキャッシュを消去し、サードパーティの拡張機能を無効にして起動します。診断モードは「command」キー+「D」キーを押して起動し、ハードウェアチェックや解決策の案内を行います。
- SMCリセット
- NVRAM/PRAMクリア
- シングルユーザモード
- verboseモード
- ファームウェアパスワード
- ターゲットディスクモード
- インターネットリカバリ
Apple Silicon搭載 Macでは、従来のIntel Macで使われていたトラブル対処法が多く廃止されたり、大きく変更されています。
例えば、「SMCリセット」や「NVRAM/PRAMクリア」は使えなくなり、これらの機能はユーザーが直接リセットできなくなりました。また、「シングルユーザモード」や「verboseモード」もキー操作では実行できず、ターミナルを使う必要がありますが、これは上級者向けです。
一方、Apple Silicon搭載 Macでも使える機能もあります。
例えば、「ファームウェアパスワード」は引き続き使えますが、Appleは代わりに「FileVault 2」を使って起動ディスクを暗号化することを勧めています。また、「ターゲットディスクモード」は廃止され、「ディスク共有」を使う方法に変わりました。
Apple Silicon搭載 Macでは「インターネットリカバリ」による復元ができなくなったため、外部起動できるインストーラーを作成しておくことが推奨されます。
また、DFUモードによる復元作業は「Apple Configurator 2」を使い、モデルごとに異なる手順に従う必要があります。初心者には難しいため、必要ならAppleサポートに問い合わせることをお勧めします。
なぜ起動モードが再構成されたのか
Apple Silicon搭載 Macでは、従来のIntel Macで使われていた多くのトラブル対処法が廃止または変更され、特にIntel Macに慣れたユーザーには戸惑うこともあるかもしれません。
しかし、これは改悪ではありません。
特別なキーコンビネーションを覚える必要がなくなり、「起動オプション」に一本化されてシンプルに行えるようになったためです。
この変更は、Macの設計がiPhoneやiPadと共通化されたことによるもので、一般ユーザーにはわかりやすくシンプルな対処法を提供し、難解なものは上級者向けに限定し、Appleのサポートを促す方針です。
古くからのMacユーザーは、この新しいやり方に慣れていきましょう。